LOGIN周りの目を気にせず、全部忘れてはしゃいでいた——あの夏。
夏休み真っ只中、初デートの熱はまだ冷めていない。思い出すと、顔が熱くなる。
(次会った時、どんな顔をすれば……)
そんな中、
『海、行くぞ!』
守の行動力には、いつも驚かされる。集合場所に集まったのは六人。
男子は僕、守、
女子は
沙友里とのデートもそうだが、クラスの女の子と出かけるのも初めてだった。
「
沙友里が声を上げている。いつも通りの様子で、僕は胸を撫で下ろす。
「焼けるから嫌だって言ったんだけど……」
「でも、ちゃんと来てくれるよね」
「
「
「お前がいないと始まらねぇだろ」
守も黒崎くんも教室とは違い、どこか浮かれているように見える。
「直哉、感謝しろよ。みんなを誘うの、大変だったんだぜ」
「うん、ありがとう。けど、守はすごいね」
「なにが?」
「あの神楽さんまで、呼べるなんて」
僕が沙友里の彼氏でなければ、話すこともないような高嶺の花。美人揃いのダンス部の中でもトップの人気を誇っている。
「あぁ……まぁな」
僕がここにいていいのかと思うほど、すごいメンバーが集まっていた。
海まで電車で一時間ほど。電車の中では、男女に分かれて座っている。
まだ少し距離感のあるグループ。だけど、守も黒崎くんも上手く距離を詰める。
(すごいな、二人とも)
僕は同じ場所で、同じ空気に触れているのが心地よかった。
「よっしゃー、来たぜ、海!」
「相沢、落ち着けよ」
「結構、人がいるね」
今日は絶好の海日和。準備に時間のかかる女性陣より先に、僕たちは砂浜に出た。
暑い日差しが気持ちいい。海の家からは、美味しそうな匂いが漂ってくる。
「みんな、お待たせー」
沙友里の声に僕たちは振り向く。
その瞬間、僕の時間が止まった——
——なんか、すごい。
(語彙力が、死んだ……)
沙友里はスカートの付いたピンクのビキニ。高瀬さんは同じようなデザインのグリーンで、神楽さんはシンプルな黒のビキニだった。
「おーみんな、すげぇ可愛いな」
守が三人に向けて、親指を立てる。
「えへへ、ありがと」
「梢、こいつから離れて」
「何だよ、麻衣。俺はバイ菌かなんかか?」
神楽さんが、勢いよく顔を背ける。その耳は、再び赤くなっていた。
「けど、ホントにみんな可愛いよ」
「ありがと、黒崎くん!」
「……いや、俺も同じこと言ったけど」
みんなが騒いでる中、沙友里が隣で肘をつつく。
「直哉」
「……はい」
「感想は?」
「……可愛い」
「聞こえなーい」
「め、めちゃくちゃ可愛い!」
「やった」
小さくガッツポーズする沙友里が、眩しくて直視できない。いつまでも心臓の鼓動がおさまってくれなかった。
急に守に腕を掴まれ、黒崎くんと三人で頭を寄せる。
「……直哉、黒崎。俺に言うことない?」
僕と黒崎くんは目を合わせた。
「相沢、ありがとう!」
「ありがとう!」
「うむっ! お前ら、後で奢れよ」
僕たちは、いい笑顔で頷いた。
「男子だけで、何してんの?」
「何でもない。よし、梢っち、海まで競走だ!」
「いいよー」
「俺について来い」
「あはは、待ってー」
守と高瀬さんが、海に向かって走っていく。
「梢、危ないよー」
「神楽さんも気をつけて」
高瀬さんを心配する神楽さんを、黒崎くんが追いかける。
「ふふっ、何あれ」
「ホントだよ」
ふと、沙友里と目が合った。花火の時を思い出す。
あの時とは髪型も、身につけているものも違う。だけど、変わらないものもある。
(色んな沙友里を、知りたいな……)
僕は、沙友里の手を取った。
「僕たちも行こう」
「うんっ!」
手を繋いだまま、僕たちは駆け出した。
海は最初だけひんやりとしたが、すぐ適温になる。僕たちは泳いだり、浮き輪に乗って、この瞬間を楽しんだ。
ビーチバレーでは神楽さんが大活躍し、守はいつの間にか、他の女子グループと仲良くなっていた。そのせいだと思うが、ものすごく冷たい言葉を、神楽さんに浴びせられていた。
広い海。
気のいい友達。
可愛い彼女。
みんなと笑い合える、こんな日が来るとは思ってなかった。
正午を過ぎ、海の家でひと時の休息の時。
「ねぇ、
突然、神楽さんに見つめられて、僕の背筋が伸びた。
「な、なに? 神楽さん」
「沙友里のどこを好きになったの?」
「うぐっ!」
僕は食べていた焼きそばを、吹き出しそうになった。
「ち、ちょっと、麻衣!」
「えー、私も聞きたい」
「梢まで……」
ひとまず水を飲んで、焼きそばを流し込む。
「沙友里はね、部活中に桐谷くんの話をよくしてるから」
「麻衣……!」
「直哉もさゆりんの話ばっかだぜ」
今度は水を吐き出しそうになった。
「俺も聞きたいな、桐谷から」
「黒崎くん……」
沙友里以外の全員が、僕を見ていた。その目はキラキラと輝いている。
逃げられない。僕は一度、大きく息を吸った。
「最初は……手だよ」
「えっ」
「手? 顔じゃねぇの?」
「あんたと一緒にしないで」
なぜか、沙友里が一番驚いた表情をしていた。
「すごく……綺麗な手をしてたから……」
自分の中にある、沙友里の最初の記憶。思えば、そこから始まっていた。
(あれ? これじゃあ答えになってないぞ……)
僕は慌てて口を開く。
「あ、もちろん笑顔も大好きだし、優しいし、一緒にいると落ち着くし——」
「な、直哉……もう、その辺で……」
「えっ?」
沙友里に止められて、周りを見る。みんな、ニヤニヤしながら僕を見てた。
「きゅぅ……」
沙友里が、奇妙な声を出して下を向いた。耳まで真っ赤に染まっている。
「桐谷くん」
神楽さんが、残酷な笑みを浮かべている。
「全部、聞かせてもらうから」
外の日差しなんか問題にならないくらい、僕の全てが火照った。
海の家で最大限に発熱した僕は、海に浸かり熱を下げようと努力していた。
「あれ? 梢はどこ?」
神楽さんが、あたりを見回す。確かに、高瀬さんの姿だけ見えない。
「梢っちーー!」
「高瀬さーん」
「はーい」
力が抜けるような声がした。しかし、声が遠い。
「あ、あそこ!」
沙友里が指さした沖に、ポツンと浮き輪で漂っている高瀬さんが見えた。
「また、あの子はー」
神楽さんがため息をつく。
「梢っち、何してんの?」
「さぁ、私にも分からないわ」
「とりあえず、岸に戻ってもらおう」
そろそろ陽も落ち始めている。少し肌寒くもなってきた。
「こずえー!」
「はーい」
「戻ってきてー」
「やだー」
神楽さんが額に手を当てた。
「もうっ、どうしてよ?」
「うーん。じゃあ、僕が直接聞いてくるよ」
「……いいの?」
「任せて」
黒崎くんが、クロールで高瀬さんに近づいていく。そして、高瀬さんを捕まえた。
「さすが黒崎! これで一安心だな」
「そうね……けど、梢どうしたのかしら」
結局、黒崎くんが浮き輪を引っ張って、僕たちの元まで戻ってきた。
「こら、梢。みんな心配したんだからね」
「ごめんなさい」
素直に頭を下げる高瀬さんに、神楽さんはそれ以上何も言えなくなった。代わりに沙友里が、その先を引き受ける。
「けど、急にどうしたの?」
「だって……」
高瀬さんは下を向いた。まるで、親に叱られている子どものように。
「教えて、梢」
「……みんなと、一緒にいたい」
「えっ」
「まだ——帰りたくないの」
それぞれの足元に、波が打ち寄せる。優しく熱を攫ってくれる。
「まぁ、それは俺たちもそうだけどよ……なぁ、麻衣」
「なんで私に振るのよ……ま、まぁ、そうね」
僕は無意識のうちに、頬が綻んでいた。
この場所が、好きだと思った。
だけど——終わりの時間はやってくる。だとしても、次に繋がればいいと……
「あ、じゃあ、うちのホテルに泊まる?」
黒崎くんが、コンビニに行くような気楽さで言った。
「「……え?」」
みんなの声が重なった。僕は話の展開について行けていない。
「今、ホテルって言ったか?」
さすがの守も、立ち尽くしている。
「よし! そうしよう」
高瀬さんだけが、前向きに返答した。残った僕たちは、顔を見合わせる。
少し高い波が、僕たちの膝まで濡らした。
この夏は——まだ、僕たちを繋いでくれている。
第十五幕 新しい春 新しい春は、知らない君を連れてくる—— 四月、始業式の朝。 昇降口の前には、クラス分けを確認しようとする生徒たちが集まっていた。 人混みが苦手な僕は、少し離れた場所から掲示板を眺めていた。「直哉、同じクラスだぞ!」 相沢守が、僕より先に桐谷直哉の名前を見つけてくれた。 少しだけ肩の力を抜くことができた。 僕も掲示板へ目を走らせた。 真っ先に見つけたのは、結城沙友里の名前だった。 僕は胸を撫で下ろした。 さらに追っていくと—— 神楽麻衣、黒崎修司、高瀬梢。 その下には、春宮里奈と、神前七瀬の名前も並んでいた。「全員一緒じゃねぇか!」 守が歓声を上げた。 後からやってきた沙友里と春宮さんが、掲示板を見て飛び上がった。「やったね、直哉! これ運命?」 「あ、私もみんなと一緒だ! 運命だね!」 「偶然よ」 浮かれまくっている沙友里たちと対照的に、神楽さんが冷静に返事をした。しかし、その表情は柔らかい。「……私の名前もある」 すぐ後ろから声が聞こえて、僕の肩が跳ねた。 振り向くと、神前さんが立っていた。「同じクラスなんだから、あるに決まってるでしょ……」 神前さんにも、神楽さんはちゃんと突っ込んだ。 僕と沙友里は、顔を見合わせて笑い合った。 沙友里たちの輪の中に、僕もいる。そう考えるだけで、足取りが軽くなった。 僕たちは教室に入ると、それぞれの席を確認する。 新しい教室には、床のワックスの香りが残っていた。 席についてカバンをおろすと、周りを見渡してみる。 沙友里の席は離れていて、廊下側の一番後ろだった。「俺の席から、
第十四幕 ありがとうを返す日 ありがとうを、どう返せばいいのか—— 「ホワイトデーのお返し、俺たちも手作りで返そうぜ!」 守が、突然思いついたように言い出した。「……守は、お菓子作りしたことあるの?」 「ない!」 「じゃあ、無理だよ……」 僕も考えなかったわけじゃない。だが、お菓子作りどころか、僕は料理にもまったく自信がない。この様子だと、守も同じだと思った。 だけど——「いいね、やろう」 黒崎くんが、普通に賛成した。 肩を落としていた守の顔が、一気に輝き出した。「黒崎、できるのか?」 「うん、俺は結構得意だよ」 「俺は信じてたぞ!」 そう言いながら守は、黒崎くんを抱きしめた。さすがの黒崎くんも、本気の抵抗を見せる。「なら、何とかなるかも……守、やろうよ」 「それでこそ直哉だ! 場所は直哉の家な」 「うん、大丈夫だと思うよ」 手作りは諦めていたけど、黒崎くんのおかげで何とかなるかもしれない。黒崎くん頼みになるのは申し訳ないけど、僕は急にやる気が出てきた。「相沢……とりあえず、離れてくれないかな」 運良くホワイトデーの前日に、三人で集まることができた。 場所は、僕の家。守と黒崎くんを連れていくと、母さんが驚いた顔をしていた。 早速、台所でお菓子作りを始めた。 守はやる気だけは、誰より高かった。 最初の五分で、小麦粉を盛大にぶちまけていた。「料理って、こんな難しかったか?」 「とりあえず守は、黒崎くんの指示に従って」 クッキーを作ることが、こんなに難しいとは思っていなかった。守の影響で、手間が増えている点を考慮しても、大変なのは間違いない。「相沢は、一旦落ち着いて。桐谷は、丁寧でいいね」 僕は黒崎くんに確認しながら、慎重に型を抜いた。(|
彼女の世界は、どこまでも広がっていく—— 芸能コースが動き出し、一ヶ月が経った。 放課後になれば、沙友里たちはレッスン場へ向かうのが当たり前になっていた。 ダンス、ボイトレ、基礎体力、ストレッチ。気がつけば、放課後の予定は毎日埋まっている。 帰り道、沙友里は少し疲れた顔をしていた。でも——目は輝いていた。「毎日、大変だけど……楽しいよ」 「疲れてない?」 「大丈夫! 夢に近づいている感じがするから」 僕には、心配することしかできない。でも、沙友里の顔を見ていると、この疲れも夢へ向かう一歩なんだと思えた。 二月十四日が近づいてきた。 付き合ってから初めてのバレンタインデー。何だか意識してしまう。男子たちも、どこか落ち着かなかった。 漫研の部室で、スケッチブックを開いていると、守が隣に座った。「なぁ、直哉……さゆりんは、チョコくれると思うか?」 「……なんで僕に聞くの?」 「お前の彼女だから」 それはそうだけど。「分からない……だけど、もらえたら嬉しい」 「素直だな」 守がニヤけた。「ちなみに俺は、十個くらいはもらえると——」 「思わない」 「最後まで聞けよ!」 この日も、沙友里が終わるのを待って一緒に帰った。 僕たちは今日も、手を繋いでいた。「最近ようやく、里奈と七瀬と仲良くなってきたよ」 「……同じ一年生の?」 「そう! 一般応募で入ってきた、貴重な同い年だからね」 確かに、沙友里は最近よくその二人の話をしていた。「里奈も七瀬もすごいよ。どんどんダンスが上達してる」 「元々の運動神経がいいんじゃない?」 「それはあるね。里奈は身体を大きく動かすし、七瀬は何か雰囲気のあるダンスするんだよ」 沙友里は、空いている腕を大きく動かしながら、二
「覚悟を見ます」——その言葉の重さを、僕はまだ分からなかった。 合格発表の数日後の放課後、レッスン場には多くの見学者の姿があった。「見られることは、仕事の一部です」という城ヶ崎さんの方針で、基本的には見学自由ということになっていた。 手の空いている先生や、アイドル好きの生徒、ただの野次馬まで。そして、部活で来られない黒崎くん以外の僕たちも、隅の方で見学することにした。 時間になると合格者二十五名が、レッスン場の中央に並んだ。そして、上野先生と城ヶ崎さんが、悠々と歩きながら入ってくる。「皆さん、おはようございます」 城ヶ崎さんの声は、相変わらず柔らかい。「今日から私は、皆さんの一番の味方です」 その言葉に、何人かが安堵した表情を見せた。「でも——甘やかすつもりはありません。プロのアイドルになるのですから」 空気がスッと変わった。「私の仕事は、皆さんをステージに連れていくこと。そのために、オーナーに雇われています」 軽い冗談のように言ったので、少しだけみんなも笑った。その笑顔は変わらない。「だけど、スターにしてあげることは——できません」 誰も声を出さなかった。 城ヶ崎さんは、時間をかけて全員を見渡してから口を開いた。「私が見るのは、才能もそうですが……覚悟です。その覚悟を、今日から少しずつ見せてくださいね」 その一言が、レッスン場の温度を完全に変えていた。「では、プロの第一歩として……」 誰かの唾を飲み込む音が、聞こえてきそうだった。「自己紹介をしてもらいましょう!」 城ヶ崎さんは、小悪魔的な笑みを浮かべていた。 指示通りに自己紹介の時間になった。全員が前に出て並び、一人ずつ簡単な紹介をしていく。「だけどよ、ダンス部のメンバーは、みんな知ってんだから意味なくない?」 守が抑えた声で囁いた。「相沢くん、バカでしょ。一般応募の子たちもいるのよ」 「それもそっか……梢っち、天才か!」 「むふふ」 きっと、それだけじゃないような気がする。「僕たちへの、正式なお披露目もあるんじゃないかな?」 「それもあるかもね……まずは校内にファンを作ろう、みたいな」 「なんか城ヶ崎って、やり手っぽいもんな」 自己紹介は進み、今はダンス部の一年生が順番にアピールしている
夢を見ているのは、彼女だけじゃなかった—— 冬休みが明けて、始業式の日。僕たちは数日ぶりに顔を合わせた。 教室では休みの間の話題で賑わっていた。誰と誰が初詣に行ったか、お年玉がいくらだったか。普段通りの空気だった。 ただ、沙友里と神楽さんだけは少し違う。二人で向かい合っているが、何も話さない。時々窓の外を見ていた。(今日が、発表だ……) 僕も、同じように落ち着かない日だった。 始業式が終わり、今日はこれだけで終了で帰宅になる。 帰りのホームルームで、担任がプリントを配り終えた後、付け加えるように言った。「ダンス部員は、放課後レッスン場へ集合してください」 教室がざわついた。「本日、オーディション結果の発表がありますが、見学は自由とのことです。興味のある人は、見に行ってもいいですよ」
願うことと、決意すること——それは、似ているようで違う。 冬休み中の十二月末。校内オーディションの面談当日。僕たちは、喫茶ひかりで沙友里と神楽さんを待っていた。「遅いな……」 守は、メニューをもう三回は見返していた。「面談、長引いているのかな」 黒崎くんが、スマホを確認した。「沙友里ちゃんたち、緊張してたもんねー」 高瀬さんは、ポテトをつまみつつ言った。 それから、さらに一時間ほど経った頃、ようやくドアベルが鳴った。「みんな、お待たせ」 神楽さんが震える声で、駆け込んでくる。その後ろに沙友里もいた。
第五幕 伸ばせなかった手 最初に見たのは、ニュースでも記事でもなかった。 SNSから流れてくる噂だった。写真はぼやけていて、夜の街で、二人並んで歩いて
第三幕 デビュー 高校に入って、まだ春の匂いが残っている頃。新しい制服にも、ようやく慣れ始めたばかりの時期。 グループとしてのデビューが決まったと聞かされたのは、いつもの帰り道だった。
第二幕 レッスンの日々 それからの日々は、立ち止まる暇もなく流れていった。 沙友里は本格的なレッスンが始まり、徐々に忙しくなっていく。レッスンがある日は、スタジオまでの送迎だけになった。それ以上は、何もできなかったし、しなかった。
第一幕 繋いだ手 僕たちが中学三年だったあの頃、放課後はいつも騒がしかった。 通っていたのは、大和中学校。そこで僕が所属していたのは漫画研究部——通称漫研。沙友里はダンス部だ。部活帰りの声、下駄箱の音、夕方に近づく校舎の匂い。でもその日、僕たちだけ